~敬語は伝わらないと思うべき~
ビジネスの場では欠かすことのできない敬語ですが、
外国人とのコミュニケーションの時だけは避けることをお勧めします。
なぜかというと、長年日本語を勉強している外国人であっても、敬語が苦手な人がとても多いからです。
その理由は、
① “~ます”という最初に習う動詞の形からかけ離れていること
② 尊敬語・謙譲語の使い分けとウチとソトの関係を理解するのが難しい
のふたつです。
まずは一つ目の、「”~ます”という形からかけ離れている」とはどういうことかを見ていきましょう。
日本語学習者の多くは「ます形」と呼ばれる動詞の形から学習を始めます。
「ます形」とは、「食べます」のような動詞の“~ます”という形で、
「食べる」「食べた」「食べて」という形は、それぞれ別の呼ばれ方をします。
敬語は
「話します」→「お話になります」
「使います」→「お使いになります」のように、
動詞のます形から作ることができるのですが、
それ以外に例外があります。その例外というのが、
「食べます」→「召し上がります」
「します」→「なさいます」
「行きます」→「いらっしゃいます」
のような敬語で、ます形とはかけ離れた形になってしまいます。
敬語を習ったことがない外国人には、その意味を理解するのがとても難しいのです。
そこへ追い打ちをかけるのが、
尊敬語と謙譲語の違いと、ウチとソトの関係という概念です。
尊敬語と謙譲語がどのように使い分けられるのかを理解することも難しいのですが、
それを理解したうえでさらに
「食べる」の尊敬語が「召し上がる」、謙譲語が「いただく」
「する」の尊敬語が「なさる」、謙譲語が「致す」のように、
一つの動詞に対して、別の単語を2種類ずつ覚えなければなりません。決
して低いハードルとはいえませんよね。
さらに「ウチとソトの関係」も重要なポイントです。
客「田中部長はいらっしゃいますか。」
私「申し訳ありません。田中は今外出しております。」
こんな会話を聞いた外国人の心境はきっとこうです。
「ちょっと待って!部長は私より年齢も立場も上なのに、どうして呼び捨てでいいの?」
このような、尊敬語を使うべきはずの目上の人でも、
ウチの関係になると謙譲語を使わなければならないというのが、ウチとソトの関係による敬語の使い分けです
外国人にとっては理解が大変難しい概念です。
目上の人や関係の薄い人、
お客様へは敬語を使うことは私たちの持つ文化の一つなのですが、
スムーズにコミュニケーションを成り立たせるという観点に立つと
敬語の重要性はかなり低いものとなります。
私たち日本人にとっては敬語を使わないことのほうが難しいのですが、
外国人とのコミュニケーションの場では敬語を避けた方がよいでしょう。
今日は、
外国人に伝わりやすい日本語の話し方のコツ その1
「敬語を忘れる」についてお話ししました。