カタコト日本語実践例⑥「お支払回数は?」はどう言う?


フリーランス日本語教師の私は、大使館や企業でのレッスンの他にカフェやホテルのラウンジなどでもレッスンを行うことがあります。特にカフェでのレッスンでは、外国人が日々目の当たりにする日本語トラブルに遭遇することが多く、驚いてしまうことがたくさんあります。ある日、生徒と一緒にカフェのカウンターでコーヒーを注文していた時のことです。私の生徒が飲み物を注文して代金を支払うと、レジの店員さんが注文した彼の後ろで順番を待っていた私におつりが渡してきたんです。手のひらを広げておつりを待っていた彼はビックリ!外国人の接客が初めてで緊張してしまったのか、そのレジの方が取った行動に私たちは驚いて目を見合わせてしまいました。

また、コンビニなどのATMで自国のキャッシュカードが使えず現金が引き出せないという外国人も多く、小さな額でもクレジット支払いをする人が多いのですが、400円ほどのコーヒーをクレジットカードで支払った外国人が「お支払いは一括でよろしいですか。」と聞かれて困っていたこともありました。レジの方もどのように伝えればよいかわからず、コミュニケーションに時間がかかりレジに列ができてしまっていました。

では、「お支払いは一括でよろしいですか。」この質問はどのように変換すれば伝わるのでしょうか。

 

【カタコト日本語】

これは、私自身もカタコト日本語への変換が難しいと思い、外国人の友人数名に聞いてみることにしました。すると、「カフェで分割払いにする発想なんてない。」「分割にしたければ自分で申し出る」というような意見があり、彼らの国では店員に支払回数を聞かれることがないというのです。つまり、支払回数を聞く必要はないということになります。難しい質問をしてコミュニケーションに時間がかかってしまったり、トラブルになってしまったりするより、何も聞かずにいる方がよいのかもしれません。お店のマニュアルなどでどうしても聞かなければならない場合は、「クレジットカードは1回ですか。」のように聞くか、「一括払い」「分割払い」をいくつかの言語に翻訳して目で見えるように表示しておき、指をさしながら質問するようにすれば問題ありません。いずれにしても、金額によっては支払回数を聞く必要がないということもあるので、相手が日本語の特異な方でなければ必要最低限の質問にとどめておくということも大切です。