カタコト日本語実践例⑦「壊れています」はどう言う?


アメリカ人の生徒が、フェイスブックにこんな投稿をしているのを見たことがあります。「今朝カフェでホットコーヒーを買おうとしたら、ないって言われたんだ。カフェなのにコーヒーがないってどういうこと!?」と、朝の忙しい時間帯に起こったちょっとしたトラブルに、機嫌を悪くしてしまった様子。しかし、私にはこのカフェにコーヒーがなかったとはどうも考えられませんでした。きっとコーヒーマシーンが壊れていたか何かの事情があってコーヒーが出せなくなってしまっていたのではないかと思うのです。店員さんはその事情をうまく伝えることができなかった、そしてこのアメリカ人の生徒にはその説明を理解できるだけの日本語力がなかった。そんな理由でこのカフェに対するイメージが悪くなってしまうなんて、悲しいことだと思いませんか。フェイスブックの投稿を見た他の外国人も、少なからず悪いイメージをいだいたのではないかと思います。外国人のコミュニティというのは意外に小さいものです。良い口コミも、悪い口コミもあっという間に広がってしまいます。では、「壊れています」はどのように言い換えれば伝わりやすくなるのでしょうか。

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【カタコト日本語】

難易度 ★☆☆☆☆

使うポイント=3(文を分解する)

 

「コーヒーマシーンが使えません。」

「コーヒーマシーンに問題があります。」

「コーヒーマシーンが 壊れました。使います。できません。」

 

「壊れる」は、他動詞の「壊す」に対する自動詞で、初級の後半で導入されることの多い動詞です。日本での生活が長い外国人であれば日常生活の中で自然に覚えるということもありますが、もし意味が伝わっていないようであれば、「問題」という言葉に言い換えたり、「できません」と不可能であるという意味を加えたりすることで伝わりやすくなります。ある単語を他の単語に言い換えるというのはゲームのようなもので、似た意味を持つ単語を探して発し続けるといくつかの単語の意味を総合してこちらが意味することを理解してくれます。同じ単語を何度も繰り返していても、相手がその意味を知らなければ絶対に伝わりません。ゲーム感覚で似ている単語を探すようにしてコミュニケーションを楽しんでください。


カタコト日本語実践例⑥「お支払回数は?」はどう言う?


フリーランス日本語教師の私は、大使館や企業でのレッスンの他にカフェやホテルのラウンジなどでもレッスンを行うことがあります。特にカフェでのレッスンでは、外国人が日々目の当たりにする日本語トラブルに遭遇することが多く、驚いてしまうことがたくさんあります。ある日、生徒と一緒にカフェのカウンターでコーヒーを注文していた時のことです。私の生徒が飲み物を注文して代金を支払うと、レジの店員さんが注文した彼の後ろで順番を待っていた私におつりが渡してきたんです。手のひらを広げておつりを待っていた彼はビックリ!外国人の接客が初めてで緊張してしまったのか、そのレジの方が取った行動に私たちは驚いて目を見合わせてしまいました。

また、コンビニなどのATMで自国のキャッシュカードが使えず現金が引き出せないという外国人も多く、小さな額でもクレジット支払いをする人が多いのですが、400円ほどのコーヒーをクレジットカードで支払った外国人が「お支払いは一括でよろしいですか。」と聞かれて困っていたこともありました。レジの方もどのように伝えればよいかわからず、コミュニケーションに時間がかかりレジに列ができてしまっていました。

では、「お支払いは一括でよろしいですか。」この質問はどのように変換すれば伝わるのでしょうか。

 

【カタコト日本語】

これは、私自身もカタコト日本語への変換が難しいと思い、外国人の友人数名に聞いてみることにしました。すると、「カフェで分割払いにする発想なんてない。」「分割にしたければ自分で申し出る」というような意見があり、彼らの国では店員に支払回数を聞かれることがないというのです。つまり、支払回数を聞く必要はないということになります。難しい質問をしてコミュニケーションに時間がかかってしまったり、トラブルになってしまったりするより、何も聞かずにいる方がよいのかもしれません。お店のマニュアルなどでどうしても聞かなければならない場合は、「クレジットカードは1回ですか。」のように聞くか、「一括払い」「分割払い」をいくつかの言語に翻訳して目で見えるように表示しておき、指をさしながら質問するようにすれば問題ありません。いずれにしても、金額によっては支払回数を聞く必要がないということもあるので、相手が日本語の特異な方でなければ必要最低限の質問にとどめておくということも大切です。


カタコト日本語実践例⑤「5時まで禁煙です。」はどう言う?


あなたはたばこを吸いますか。日本に来たばかりの外国人が驚くことのひとつに、たばこの安さがあります。ヨーロッパでは1箱1,000円以上するという国が多い中、日本ではたったの400円。しかもコンビニはもちろん、スーパーマーケットや駅のキオスクなどどこでも簡単に手に入れられることに驚いくようです。そして妙に納得してしまったのが、外国人の多くが感じている喫煙場所についての不思議です。レストランなどの店内では周囲のお客さんに迷惑がかかるということで、室内での喫煙のルールが厳しく「たばこは外で吸うもの」だと考えている外国人にとって、日本の「室内では分煙して喫煙可とし、屋外では喫煙スペース以外喫煙禁止」というルールがどうもおかしく感じるようなのです。レストランやバー、そしてそのフォーマル度によってもルールは違うところですが、喫煙のルールを外国人に知らせて守ってもらうにはどのように伝えればよいでしょうか。そこでファミリー層向けのレストランを想定し、「5時まで禁煙です。」を、カタコト日本語で言い換えてみることにしましょう。

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難易度 ★☆☆☆☆

使うポイント=3 (漢語をさける)

 

「たばこは5時までダメです。5時から大丈夫です。」

相手が喫煙者であれば喫煙に関わる単語を知っている可能性が高いので、「禁煙」と言う単語も伝わる場合が多いと思います。しかし、「禁煙」という単語の意味を知らない外国人には、「たばこ」「いい」「大丈夫」「ダメ」といった、より身近で簡単な言葉を選ぶようにするといいでしょう。また、「5時までダメ」に加えて「5時から大丈夫」や、「中はダメ」「外は大丈夫」のように、「どうすれば(あるいはどこなら、いつなら)大丈夫か」という説明を加えると、相手もルールを理解しやすくなるでしょう。全面的に禁煙ということもあると思いますので、その場合は「禁煙です。中もダメです。外もダメです。」のように伝えれば問題ありません。

ちなみにタバコは英語です。英語圏の外国人であれば問題なく伝わります。たばこを吸わない人にとって、たばこの煙や臭いは心地よいものではありませんよね。周りのお客さんのためにも、喫煙者にはルールをしっかりと伝え、理解してもらうことが重要です。


【カタコト日本語×レジ】


【カタコト日本語×レジ】

クリスマスの季節になると、「家族へのプレゼントを買いに行くんだ。」という生徒が多くなります。クリスマスに合わせて国に帰ることの多い外国人は、両親、兄弟、友人それぞれにプレゼントを用意するようです。また、日本の丁寧で美しい包装にも感動する外国人が多く、デパートの店員さんが商品を美しく包装する様子の動画がインターネットやSNSでアップされることもあります。

私が買い物の際に「これは外国人に伝わるのかな」と疑問に思う質問は、店員さんの「ご自宅用ですか。」という質問です。さらに、「プレゼントで」と答えると「ラッピングは箱と袋のどちらになさいますか。」や、「有料と無料がありますがどちらになさいますか。」などと質問が続きます。そう言って外国人の頭の上にはてなマークを浮かばせてしまった経験はありませんか。

 

【私たちにできること】

ます、外国人にとって「ご自宅用ですか」という質問が難しいということはお分かりいただけると思います。これは「プレゼントですか。」と聞くようにすれば問題ありません。相手も「はい」か「いいえ」で答えられるので、とてもシンプルです。次にラッピングの方法についてですが、まず『ラッピングの方法が選べること』は、相手にとって当たり前ではないと考える必要があります。私たちにとってはあまりにも当たり前なので、「箱と袋のどちらになさいますか。」や、「有料と無料のラッピングのどちらになさいますか。」という質問が投げかけられることを事前に想像し、なんの疑問もおぼえず答えることができます。しかし、相手にそのような概念がなければいったい何を聞かれているのか、質問の意味の見当もつかないのではないでしょうか。その場合はやはり、情報を視覚で判断できるようにするとよいでしょう。ラッピングのサンプルを用意し、ひとつには「¥300」、もう一つには「¥0」と記載しておくのです。そうすれば、「ラッピングの方法が選べると」いうことと、「値段が違う」という2つの情報を瞬時に受け取ることができますよね。繁忙期の接客を効率よく行うためにも、このような準備は有効だと思います。外国人客の来店が多い店舗の皆様は、ぜひ試してみて下さい。


カタコト日本語実践例④「至急ご連絡ください。」はどう言う?


外国人が日本語を話さなければならない場面で最も難しいもののひとつが、テレフォンセンターの方などとの電話でのやりとりです。繰り返される聞きなれない敬語が難しいだけでなく、相手の口元も見えず音声も濁ってしまうため言葉がとても聞き取りづらいのです。それが留守番電話となればなおさら難しくなります。緊急の用事で連至急連絡が必要な場合、「至急ご連絡ください。」と言うだけで外国人に伝わるでしょうか。「至急」も「連絡」も2つ以上の漢字から成り立つ漢語です。漢語はフォーマルな場面で使われることが多く、初級の生徒にとっては少し難易度が高いのです。そこでまずは、ルール3の漢語を避けるから始める必要があります。

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難易度 ★★☆☆☆

使うポイント=3、4 (漢語を避ける、文を分解する)

 

「電話します。お願いします。とても急いでいます。」

「早く電話をします。お願いします。」

「問題があります。早く電話してください。」

 

“急いでください”というフレーズは、タクシーを使う場面などでも使える表現なので、学習者自ら覚えたがることもあります。そのため、「急いでください」がそのまま伝わることもあるでしょう。そうでなければ「早く」と、時間を明確に示すようにします。

「問題」は漢語ですが、“No problem”を直訳して「問題ない」とというフレーズを覚えている外国人もたくさんいますす。「問題がありました。急いで電話してください。」日本語に慣れている外国人であれば、このような表現でも伝わるでしょう。みなさんが外国人と会話をしているときも、相手が話す言語の細かい文法表現がわからなかったとしても、知っている単語がいくつか並べばとなんとなく言わんとしていることの想像がつくということがあると思います。ということはつまり、相手がわかるような単語を使うようにすれば「外国人に伝わる日本語」になるということです。「至急」と「早く」、「連絡」と「電話」であれば、どちらの方が相手が知っている可能性が高いか。どちらの方が簡単かを考えるようにすれば、相手にキャッチしてもらえる単語の数が増えるはずです。言っていることが伝わらないもどかしさと、言われいてることがわからない相手のイライラが伝わってきて焦ってしまうこともあるかもしれませんが、なるべく簡単な単語で、短い文章を並べるように話してみてください。


カタコト日本語実践例③「ごみは分別して出してください。」はどう言う?


あなたの家の近所に外国人は住んでいますか。近隣外国人住民との文化や習慣の違いから、騒音やごみの出し方でトラブルになるということも聞いたことがありますが、みなさんのところはどうでしょうか。私の生徒の中にも、最近引っ越しをした人がいます。フランス人の彼は奥様と3歳の息子さんとの3人暮らしで、より広い家を探し続けてようやく引っ越すことにしたのです。ところが、入居からたった1週間後「騒音が気になる」と下の階の方から注意を受けてしまったのです。そこで彼は、子どもが走り回る際の騒音を防ごうと、カーペットと子供用スリッパの購入し、下の階の方へ謝罪のお手紙を書くことにしました。この真摯な対応に下の階の方も納得してくれたようです。

一方、私が近所のカフェのテラス席で、大きなスーツケースを傍らにコーヒーを飲んでいる男性を見かけた時のことです。彼は食事が終わると、食べていたサンドイッチのパッケージや紙カップなどのゴミをテーブルに散らかしたまま去って行ってしまいました。スーツケースを持っていたところを見ると、彼は観光客で日本文化に慣れていなかったのでしょうが、それにしても見ていていい気はしません。でも、彼はただ日本の習慣や文化を「知らなかった」だけなんですよね。ならば、ルールを知ってもらわなければいけません。

「ごみは分別して捨ててください。」ゴミ出しのルールを知らずに、なんでもかんでもごちゃまぜにして捨ててしまう外国人がいたら、あなたはどのように注意すればよいでしょうか。

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難易度 ★★★☆☆

使うポイント=3,4(漢語を避ける、文を分解する)

 

「紙と、プラスチックは一緒じゃないです。別々です。お願いします。」

【解説】

「分別」という単語は、ゴミ捨てという特定の状況以外で使われることが少ないので、伝わらない可能性が高いと思います。また、そもそもその外国人の国には「ごみを分別して捨てる」というルールがなく、その分別するという行為自体が初めてだということも考えられます。

一番いいのは、、実際に彼らの前でごみを分別して捨てるという行動をしながら説明できることです。袋を用意し、「紙のごみはこっち、プラスチックはこっち」と言いながら、見せながら説明してみましょう。

また、「燃える」「燃えない」というのも伝わりにくい言葉です。火の絵が描かれたステッカーやポスターなどを用意して、張り付けておくのも重要でしょう。


カタコト日本語実践例②「チケットがないと入れません。」はどう言う?


外国人が集まるところと言えば、やはり観光地でしょうか。浅草や東京タワー、スカイツリーなどの日本を代表する観光地は、季節や国籍を問わずいつも大勢の観光客でにぎわっていますよね。私が受け持つ生徒は、平均して3年以上日本に住んでいて東京の名所には行きつくしたという人がほとんどですが、そんな彼らは休日を利用して美術館や博物館に足を運んでいるようです。日常的に芸術に触れる習慣があるのですね。

そんな観光地や娯楽施設の入場券は、時に前売り券が必要だったり、ある特定の場所は別のチケットが必要だったりすることがあり、私も時々とまどうことがあります。入口の女性に「申し訳ございませんが、チケットをお持ちでないお客様は入場できません。」と言われてふと思いました。これ、外国人にはどのように伝えているのだろう・・これは、「予約がないと入れない」や、「会員にならないと使えない」など、公共施設での決まり事を伝える際に必要となる表現なのではないでしょうか。

【カタコト日本語】

難易度 ★★☆☆☆

使うポイント=2、4 (ます形で話す、文を分解する)

 

「チケットがありません、入れません。ダメです。」

「チケットがあります、大丈夫です。」

【解説】

「チケットがないと」「チケットがなければ」「チケットがなかったら」のような条件の意味を持つ文法は、日本語学習者、さらには日本語教師にとってもやっかいな文法です。同じ「ない」でも、「ないと」「なければ」「なかったら」と、全て活用が違います。つまり、相手がこれらの活用を勉強していなければ理解するのがとても難しいのです。その場合はまず、「です、ます」の形に戻します。そして文を分解して、禁止の機能(この場合は「ダメです、大丈夫です」)を付け加えるようにします。ポイントは、「チケットがないと入れない」に加え、「チケットがあれば入れる」というところまで言ってあげることです。2つの状況を対比するように説明することで、状況や説明の意味が伝わりやすくなるのです。

 


カタコト日本語実践例①「何か食べられない食材はありませんか?」はどう言う?


昨今の飲食業界では、オーガニック食品やスーパーフードの人気の高まりを初め、アレルギーや宗教などの理由で料理に使われる食材について敏感な人が増えているようです。特に外国人にその傾向が強いと言えるのではないでしょうか。相手が日本人であれば、「何か食べられない食材はございませんか。」と聞けば済むのですが、相手が外国人、しかも英語の話せない人だった場合はどのように質問すればよいでしょうか。

こんな時に活用して頂きたいのが、「カタコト日本語」です。まず、「食べられない」という動詞の形は可能形と呼ばれ、最初に習う「ます形(食べます)」を変換させた形です。可能形を習っていない外国人は、「食べる」という動詞の意味は理解できても、そこに「可能」の意味が含まれるというところまでは理解できません。また、「食材」という単語も難しいでしょう。ここで「カタコト日本語」を使い、外国人に伝わる日本語に言い換えてみます。

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難易度 ★★★☆☆

使うポイント=4、5(文を分解する、YES/NO型の質問)

 【カタコト日本語】

「食べません、食べ物はありますか。」

「アレルギーはありますか。」

「肉、野菜、魚、全部大丈夫ですか。」

【解説】

ここで使ったカタコト日本語のポイントは4の「文を分解する」と、5の「はい・いいえで答えられるように質問をする」です。

“食材”は少し難易度の高い単語です。意味を伝えるためには、より身近な単語を使うか、具体的なものを例に挙げましょう。

”食材”は“食べ物”という身近な単語に言い換えることができ、具体的な例は”肉、魚、野菜”などが挙げられます。

また、「アレルギー」という単語は英語ですが、英語の発音は「アレジ―」で日本語とは発音がまったく違うため伝わらない可能性があります。「アレルギーはありますか。」と質問して相手に伝わらないようであれば、アレルギーという単語を避ける必要があります。

「食べます」や「大丈夫です」といった単語は日常で耳にする機会が多く、日本語を勉強していない外国人でも覚えていることが多いのです。

このようなことを考えると、「食べます、大丈夫ですか。」または具体例を挙げて「肉、魚、全部大丈夫ですか。」な質問が、外国人に伝わりやすい日本語と言えるでしょう。

 

 

 


【カタコト日本語×ネイルサロン】


【カタコト日本語×ネイルサロン】

日本語の授業中に、わたしの爪を見た女性の生徒が「ネイルサロンで使う日本語を学びたい」と言ってきたことがありました。彼女はスペイン人で、スペインにもネイルサロンはあるとのことでしたが、日本のネイリストさんの技術の高さと出来上がりの美しさに感動し、私が通っていたネイルサロンに言ってみたいと言い出したのです。

ネイルサロンや美容院、カフェやファストフード店などでは、来店後の流れがほぼ決まっています。いつもと違う美容院やいつもと違うカフェに行っても、店に入った後に何をするべきかわからずおどおどしてしまうということはありませんよね。「日本初上陸!」のような最新の施設では、独特のシステムがありとまどってしまうこともあるかもしれませんが…。しかし、マクドナルドやスターバックスなど見慣れた店でも、海外で行くと少し緊張したりとまどってしまったりしませんか。ネイルサロンもそのような施設の一つだと思うのです。ネイルサロンや美容院は分刻みで予約が入っていることが多く、一人遅れると次の予約にまで影響を及ぼします。スムーズなコミュニケーションがより求められるお仕事なのではないでしょうか。

 

【わたしたちにできること】

ネイルサロンや美容院は、カフェやファストフード店などと同様使う単語がほぼ決まっています。その代わり、来店客の頭の中にあるイメージと希望をより正しく理解することが大切です。この場合もやはりイラストが便利なのではないかと思います。来店後の流れとともに、来店客が希望を伝える際に必要になりそうな単語を選んで記載しておくのです。

例えば、

施術の流れ

1.ジェルとマニキュアのどちらをご希望ですか

2.手と足どちらの施術をご希望ですか

3.デザインを選んでください

4.希望の爪の長さを選んでください

5.ジェルの色を選んでください

6.ストーンを選んでください

 

これを英語、中国語、韓国語など、あなたのサロンに来店する外国人に国籍に合わせて用意するのです。さらに、爪の長さの希望が理解できるよう「もっと短く」「これで大丈夫」といった表現を記載したり、爪の形やストーンのサイズの希望が理解できるよう「丸」「四角」「大きい」「小さい」といった単語を記載したりするのもいいと思います。「〇〇指だけデザインを変えたい」とか、「付け直し希望(保証期間内に限る)」などといった希望などもうったえられるようにしておけば、希望を理解するのに時間をとられることもありません。あなたのサロンでこれまでに生じた外国人客とのトラブルなどを記録しておき、それを外国語表記にして用意しておけば、次の外国人客とのコミュニケーションの場ではそれを見せて指さしてもらうだけで相手がうったえていることを理解することができます。

 女性のあなたなら、おしゃれがしたい女性の気持ちがわかるはずです。国際的に女性のおしゃれをお手伝いできるなんて、本当に素晴らしいお仕事だと思います。あなたの器用さと技術の高さで、外国人客を驚かせてください。


【カタコト日本語×スーパーマーケット】


【カタコト日本語×スーパー】

見たことがない商品が並ぶ外国のスーパーって、ワクワクしますよね。パッケージがかわいかったり、日本では考えられないような色のお菓子やケーキがあったりして、ついつい買ってしまいませんか。ところがそこで困るのが・・・「読めない。」saltsugerは読めたとしても、fabric softener(柔軟剤)とlaundry detergent(洗濯用洗剤)、manufactured date(製造年月日)expiry date(消費期限)などは、その意味をまず理解していないと間違って買ってしまう可能性がありますよね。その他にも、「3つで1000円」や、「3000円以上購入で配送料無料」などのお得な情報も、外国語表記では見逃しがちです。

 

【私たちにできること】

接客する側の方も、外国人に「洗濯用洗剤」や「消費期限」を説明するのは難しいと思います。そこでご提案したいのは、やはり視覚で情報を取れるようにするということです。つまり、商品名や価格に加え、英語訳を表記するのです。それはきれいに印刷されたものでも手書きでもかまいません。

外国人客の来店が多い店舗では、外国語が話せる店員さんを常駐させるといったことがあるかもしれません。しかしそれでは人件費もかかりますし、外国人を接客するたびにその方を呼び出していては、時間もかかり仕事も滞ってしまう可能性があります。

すべての商品に英語表記を加えるということは簡単ではありません。しかし、一度表記をしてしまえばあとは簡単です。英語表記があるということだけで外国人客も安心して買い物ができ、来客数も増えるかもしれません。一番の理想は、メーカーさん側が英語表記を加えるということなのですが、それまでには少し時間がかかるかもしれませんね。

 

また、お得な情報やアレルギーなどの健康に関わる注意事項などは、イラストでもいいかもしれません。「ひとつ300円。ふたつで500円。」という情報であれば、「●=¥300。●●=¥500」のようにして、●の部分は商品の絵を描いたり、写真を印刷して張り付けたりしてもいいですよね。「アレルギー」は英語ですが、英語と日本語では発音がまったく異なります。口頭で説明するのが難しいので、allergy(アレルギー)と書いた横に、ピーナッツや小麦、卵のイラストを描くのはどうでしょうか。あなたの店舗で購入した商品によって健康被害が生まれてしまうのを防ぐことができるはずです。ぜひ試してみて下さい。