カタコト日本語実践例②「チケットがないと入れません。」はどう言う?


外国人が集まるところと言えば、やはり観光地でしょうか。浅草や東京タワー、スカイツリーなどの日本を代表する観光地は、季節や国籍を問わずいつも大勢の観光客でにぎわっていますよね。私が受け持つ生徒は、平均して3年以上日本に住んでいて東京の名所には行きつくしたという人がほとんどですが、そんな彼らは休日を利用して美術館や博物館に足を運んでいるようです。日常的に芸術に触れる習慣があるのですね。

そんな観光地や娯楽施設の入場券は、時に前売り券が必要だったり、ある特定の場所は別のチケットが必要だったりすることがあり、私も時々とまどうことがあります。入口の女性に「申し訳ございませんが、チケットをお持ちでないお客様は入場できません。」と言われてふと思いました。これ、外国人にはどのように伝えているのだろう・・これは、「予約がないと入れない」や、「会員にならないと使えない」など、公共施設での決まり事を伝える際に必要となる表現なのではないでしょうか。

【カタコト日本語】

難易度 ★★☆☆☆

使うポイント=2、4 (ます形で話す、文を分解する)

 

「チケットがありません、入れません。ダメです。」

「チケットがあります、大丈夫です。」

【解説】

「チケットがないと」「チケットがなければ」「チケットがなかったら」のような条件の意味を持つ文法は、日本語学習者、さらには日本語教師にとってもやっかいな文法です。同じ「ない」でも、「ないと」「なければ」「なかったら」と、全て活用が違います。つまり、相手がこれらの活用を勉強していなければ理解するのがとても難しいのです。その場合はまず、「です、ます」の形に戻します。そして文を分解して、禁止の機能(この場合は「ダメです、大丈夫です」)を付け加えるようにします。ポイントは、「チケットがないと入れない」に加え、「チケットがあれば入れる」というところまで言ってあげることです。2つの状況を対比するように説明することで、状況や説明の意味が伝わりやすくなるのです。