【日本は最先端?それとも・・】


多くの外国人をインタビューしてきてよく耳にするのが、日本は最先端でありながら時代遅れであるということです。近代的な建築物やIT技術の目覚ましい発展、日本人にしか思いつかないようなおもしろ商品などに目を丸くする外国人がいる一方で、時代遅れな習慣にもどかしさを感じるという声も聞かれます。それはいったいどのようなことでしょうか。

まずは今だ多くの企業で使われているFAX。来日して日本企業に勤め始めた外国人の多くが、社内にFAXが設置され実際に使われていることに大変驚いたと言います。

それから通帳。もともとあまり使うことがないという国もあるようですが、「まだ使っているの!?」という声も多く聞かれます。

本での生活を紹介するブロガーやユーチューバーにとっては、恰好のネタのようです。

 

 


【外国人がなかなか慣れない〇〇のレッテル】


最近になって、在住外国人向けコミュニティサービスCity-Costとのコラボレーションで外国人へのインタビュー動画の配信を始めました。

http://lovinglifeintokyo.com/

 

日本でビジネスを始めた方や、新たな趣味を見つけ日本での生活を謳歌している方など、日本という異国で自分らしい生活を手に入れた方の経験をシェアすることで、他の外国人に刺激や勇気を与えたいという思いで始めたものです。

インタビューさせて頂く方には事前にお時間をもらいじっくりお話を伺うのですが、何名かの方が共通してお持ちの日本に対するある印象があったのでご紹介します。

在住期間も長く、日本語でのコミュニケーションも問題ないという方々に、「日本に来た外国人がなかなか慣れることができない日本の文化や習慣はなんですか。」という質問をしました。するとしばらく考え込んだ彼らは、「外国人は外国人でしかないこと」と答えました。

それはどういうことかと尋ねると、学校、会社、趣味のサークルなどで日本人コミュニティに溶け込もうと、たくさん日本語を勉強したし、たくさんコミュニケーションもとったけど、「外国人」というレッテルが剝がれることはない。常に何か違う、特別扱いされているような感じがしている、という話でした。

周囲に多国籍の人がいて当たり前という環境に慣れている欧米の人々は、「外国人」というレッテルがいつまでたっても剥がれることがない日本の環境に、もどかしさを感じているようでした。初めのうちは、日本人のように接してもらいたいと強く思うあまりその環境がつらかったと言います。しかししばらくして、日本の文化の中では外国人であり続けることが自分らしくいること、その状態でコミュニティの一員でいられることが自分を認めてもらえていることだと感じたんだそうです。それからは日本人のように扱ってほしいと願うことをやめ、そのレッテルを受け入れたんだそうです。

きっと私たちには感じることのできないなんともいえない感情なのだと思います。目の前にそんな風に感じている外国人がいたら、それはあなただけじゃないと伝えてあげようと気付きを得たエピソードです。


【どうして?私のことも見て!】


先日、カフェで日本語のレッスンを行ったときのことです。

私は時間より少し早めにカフェに入り、紅茶を飲みながら生徒が来るのを待っていました。

しばらくして生徒がやって来て席に着き、飲み物を注文しようと店員さんに声をかけました。

「アイスティーをひとつお願いします。」

それを聞いた店員さんは私に向かって、

「はい。ご一緒にレモンかミルクをお持ちしましょうか?」

 

「ストレートで」と何事もなかったかのように答えた私の生徒は、店員さんが離れると、

「僕のこと見て!」と苦笑い。

それだけでなく、彼が「おしぼりをください」と頼めばそのおしぼりは私の手元に差し出され・・

彼は10年以上日本で生活をしているのでこんなことには慣れていると笑って話していましたが、そうではない外国人はどう感じるかなぁとしんみり。

日本語が話せる外国人の接客にさえ苦手意識を持っている方が大勢いるのに、ワールドカップやオリンピックで来日する外国人の接客は大丈夫なのでしょうか。

グローバルジャパン、最高のサービス、おもてなしを期待して来日する外国人は、目も合わない接客にどのような印象を持つのでしょうか。

少しずつ外国人客の接客研修なども増えていくことと思いますが、まるで透明人間になってしまったかのような寂しさを感じさせない接客が広がることを期待しています。


【どうして?日本のお金は〇〇】


私たち日本人にとってはなんでもないことも、外国人の目には不思議に映ることがあります。

今日フランス人のクライアントにこんなことを言われました。

 

「どうして日本のお札はきれいなんですか。」

お札がきれい?いったい何の話をしているんだろうと詳しく話を聞いてみると、

フランスでは手にしたお金はクシャっと適当に丸めてポケットに入れる人が多く、日本のお札のようにきれいな状態で手に渡ることがほとんどないのだそうです。

確かに映画などで目にする海外のお札は、くしゃくしゃになっているような・・・

 

指摘されなければ気が付かなかった我々日本人のお札の丁寧な扱い方を、少し誇らしく感じました。


【伝わらないカタカナ語】


我々日本人が、イクラ(ロシア語)やカレンダー(英語)などの外国語の単語を外来語としてそのまま使っているように、海外でも「もったいない」や「旨み」など、その国の言葉に訳すことができない日本語がそのままの形で使われていることがあります。

私たちが普段何気なく使っているカタカナ語は、外国語をそのまま使っている単語の他に、発音はそのままでも意味が転じてしまった単語、また、日本人作った和製英語があります。つまり、「カタカナだから伝わるはずだ」と思っている単語がまったく伝わらないということがあるのです。そこで今日は、外国人には伝わりにくい(または伝わらない)カタカナ語について書いていきたいと思います。

 

【道案内で使いがちな伝わりにくいカタカナ語】

    ガソリンスタンド

ガソリンスタンドは和製英語です。「ガソリン」と、小さな店という意味を持つ「スタンド」を組み合わせた言葉で、英語では「ガスステーション」と言います。

    コインランドリー

これも和製英語で、英語ではlaundromat(ランドロマット)というそうです。「コインランドリー」という単語を初めて聞いたネイティブの英語話者は、「小銭を洗う場所」だと思ってしまうそうですよ。オーストラリアでは私たちが使う「コインランドリー」と同じ意味で、「コインランドリー」という言葉を使うところもあるようです。

 

【職場で使いがちな伝わりにくいカタカナ語】

    アンケート

アンケートの語源は実はフランス語。フランス語話者には通じますが、英語では「クエスチョネア」や「サーベイ」と言います。

    ケースバイケース

「ケースバイケース」は、「On a case by case basis」というフレーズが簡易化されしまった半分和製英語です。同じ意味を表す言葉で一番よく使われるのは「it depends」という言い方です。

 

【食べ物について話すときに使いがちな伝わりにくいカタカナ語】

    アレルギー

これは以前にも書いたことがありますが、意味は同じでも発音が大きく違います。英語では「アレジ―」のように発音するため、「アレルギー」と言ってもネイティブにはわかってもらえないことが多いのです。

    ホットドック

ホットドックは和製英語です。これを聞いた外国人は、「犬」を想起してしまうそうです。英語では「コーンドック」と言います。

 

いかがでしたか。私たちは英語のみならず様々な国の言葉をカタカナ語として使っており、さらには日本人が作り上げた和製英語を英語だと勘違いしてしまっていることがあります。周囲の外国人とのコミュニケーションが必要な方であれば、覚えていて損はありませんね。


【日本で手に入らず困るものとは?】


世界一レベルの接客サービス、安価で夜更けまで利用できる便利な交通サービス、世界各国の美味しい食が楽しめる東京で、外国人が「手に入らない」と困っている物とはいったいどんなものでしょうか。これまで、外国人の生徒や友人たちに聞いたことをここで挙げてみたいと思います。

    大きいサイズの衣服

カナダ人の生徒が仕事の面接に挑む際、「革靴はどこで買えるの。」と聞いてきたことがあります。革靴を求めて東京中を探し回っていたものですが、一般のデパートでは外国人サイズの靴が手に入らず、海外ブランドのショップはカジュアルすぎる、もしくは高級すぎて手に入らないのだそうです。海外のオンラインショップで買うこともで可能ですが、「今日中に必要」という状況ではどうしても間に合わないのです。靴のみならず、外国人サイズのコートやスーツなども日本ではなかなか買うことができず、国に帰ったときや出張で海外を訪れた時に買うという人も多いようです。

 

    母国の食材

お正月にはおせちやお雑煮、土用の丑の日にはうなぎなど、日本でも行事によって特別な食事をするように、欧米出身の人の多くは感謝祭やクリスマスにターキー(七面鳥)を使った食事をします。日本でも友人を家に招いて感謝祭のパーティーをしている外国人が多いのですが、そんな時彼らが買い求めるのがターキーまるまる1尾なんです。チキン1尾はあるかもしれませんが、ターキー1尾を手に入れるのはなかなか大変ですよね。ターキーに限らず、日本でも母国の味を手に入れたいと願う外国人は多く、チーズや特別な香料を求めて特定のスーパーまでわざわざ足を運んだりしているようです。ベジタリアンだったり、宗教的な理由で食べられない食材があったりすると、食べられる食材を探す方が大変です。成分表を理解するのも大変ですよね。

外国人の住民が多い地域では外国人向けのスーパーなども見かけますが、今後外国人来日者数が増えることを考えると、外国の食材を販売する店が増えてくるかもしれませんね。

 


【日本人どうして?外国人が抱く謎】


外国人の友人と一緒にいると、彼らが日々感じている日本の不思議に触れ色々なことに気づかされます。ある洋食レストランでランチを食べていた時の事です。平日だったので、店内ではたくさんのサラリーマンが食事をしていました。そんな時私の友人が、「ねぇともみ、どうして日本人はソファで靴を脱ぐの。」と聞いてきたのです。どういうことかと思い周囲を見回してみると、スーツを着たサラリーマンの多くがソファ席やテーブル席で靴を脱ぎ、あぐらをかいたり片足を膝の上に乗せた状態で座っていたりしたのです。特に食事の場では、見ていて気持ちの良い風景ではありませんよね。それからというもの、カフェにいても図書館に行っても靴を脱いで座っている方がどんどん目に入るようになりました。ちょっと調べてみると、車を運転するときも靴を脱ぐという方もいてびっくり!みなさんの周りにもそのような方はいらっしゃいませんか。

 さらに、日本に来たばかりの外国人によく聞かれる質問のひとつに「レジの人へはどんなあいさつをすればいいか。」というものがあります。みなさんはレジの方に声をかけることはありますか。また、それはどんな声掛けですか。外国人、特に欧米の方々は店員さんとも気軽にあいさつを交わすようで、目があえば「Hi, how are you?」とあいさつをしたり、レジで支払いを済ませお店を出る際には「Have a nice day.」と声をかけたりするというのです。そんな彼らは日本ではレジの方にどんな風に声をかけたらよいかと疑問に思うようなのです。「ありがとうございます」で十分ですと答えるのですが、こんな時日本にも「have a nice day」のような表現があるといいのになぁと思います。レジの店員さんだけでなく、レストランで料理を運んでくれたウェイトレスさんやタクシーの運転手さんなどにも「ありがとう」と感謝を表す外国人を見て、世界最高レベルの接客に慣れてしまっている私たちは、感謝を伝えることを忘れてしまっているのかもしれないなぁと感じます。

 

文化の違いがあるからこそ、新しい観点で物事を捉えることができます。良い悪いはその人次第ということもありますが、知らぬ間に恥をかいていることもあれば、知らぬ間にうらやましがられるような状況で生活しているということもあるのです。異文化と触れるということは、多くのことに気が付くチャンスです。良いところは見習い、悪いところは改善していきたいものですね。


カタコト日本語実践例⑦「壊れています」はどう言う?


アメリカ人の生徒が、フェイスブックにこんな投稿をしているのを見たことがあります。「今朝カフェでホットコーヒーを買おうとしたら、ないって言われたんだ。カフェなのにコーヒーがないってどういうこと!?」と、朝の忙しい時間帯に起こったちょっとしたトラブルに、機嫌を悪くしてしまった様子。しかし、私にはこのカフェにコーヒーがなかったとはどうも考えられませんでした。きっとコーヒーマシーンが壊れていたか何かの事情があってコーヒーが出せなくなってしまっていたのではないかと思うのです。店員さんはその事情をうまく伝えることができなかった、そしてこのアメリカ人の生徒にはその説明を理解できるだけの日本語力がなかった。そんな理由でこのカフェに対するイメージが悪くなってしまうなんて、悲しいことだと思いませんか。フェイスブックの投稿を見た他の外国人も、少なからず悪いイメージをいだいたのではないかと思います。外国人のコミュニティというのは意外に小さいものです。良い口コミも、悪い口コミもあっという間に広がってしまいます。では、「壊れています」はどのように言い換えれば伝わりやすくなるのでしょうか。

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【カタコト日本語】

難易度 ★☆☆☆☆

使うポイント=3(文を分解する)

 

「コーヒーマシーンが使えません。」

「コーヒーマシーンに問題があります。」

「コーヒーマシーンが 壊れました。使います。できません。」

 

「壊れる」は、他動詞の「壊す」に対する自動詞で、初級の後半で導入されることの多い動詞です。日本での生活が長い外国人であれば日常生活の中で自然に覚えるということもありますが、もし意味が伝わっていないようであれば、「問題」という言葉に言い換えたり、「できません」と不可能であるという意味を加えたりすることで伝わりやすくなります。ある単語を他の単語に言い換えるというのはゲームのようなもので、似た意味を持つ単語を探して発し続けるといくつかの単語の意味を総合してこちらが意味することを理解してくれます。同じ単語を何度も繰り返していても、相手がその意味を知らなければ絶対に伝わりません。ゲーム感覚で似ている単語を探すようにしてコミュニケーションを楽しんでください。


カタコト日本語実践例⑥「お支払回数は?」はどう言う?


フリーランス日本語教師の私は、大使館や企業でのレッスンの他にカフェやホテルのラウンジなどでもレッスンを行うことがあります。特にカフェでのレッスンでは、外国人が日々目の当たりにする日本語トラブルに遭遇することが多く、驚いてしまうことがたくさんあります。ある日、生徒と一緒にカフェのカウンターでコーヒーを注文していた時のことです。私の生徒が飲み物を注文して代金を支払うと、レジの店員さんが注文した彼の後ろで順番を待っていた私におつりが渡してきたんです。手のひらを広げておつりを待っていた彼はビックリ!外国人の接客が初めてで緊張してしまったのか、そのレジの方が取った行動に私たちは驚いて目を見合わせてしまいました。

また、コンビニなどのATMで自国のキャッシュカードが使えず現金が引き出せないという外国人も多く、小さな額でもクレジット支払いをする人が多いのですが、400円ほどのコーヒーをクレジットカードで支払った外国人が「お支払いは一括でよろしいですか。」と聞かれて困っていたこともありました。レジの方もどのように伝えればよいかわからず、コミュニケーションに時間がかかりレジに列ができてしまっていました。

では、「お支払いは一括でよろしいですか。」この質問はどのように変換すれば伝わるのでしょうか。

 

【カタコト日本語】

これは、私自身もカタコト日本語への変換が難しいと思い、外国人の友人数名に聞いてみることにしました。すると、「カフェで分割払いにする発想なんてない。」「分割にしたければ自分で申し出る」というような意見があり、彼らの国では店員に支払回数を聞かれることがないというのです。つまり、支払回数を聞く必要はないということになります。難しい質問をしてコミュニケーションに時間がかかってしまったり、トラブルになってしまったりするより、何も聞かずにいる方がよいのかもしれません。お店のマニュアルなどでどうしても聞かなければならない場合は、「クレジットカードは1回ですか。」のように聞くか、「一括払い」「分割払い」をいくつかの言語に翻訳して目で見えるように表示しておき、指をさしながら質問するようにすれば問題ありません。いずれにしても、金額によっては支払回数を聞く必要がないということもあるので、相手が日本語の特異な方でなければ必要最低限の質問にとどめておくということも大切です。


カタコト日本語実践例⑤「5時まで禁煙です。」はどう言う?


あなたはたばこを吸いますか。日本に来たばかりの外国人が驚くことのひとつに、たばこの安さがあります。ヨーロッパでは1箱1,000円以上するという国が多い中、日本ではたったの400円。しかもコンビニはもちろん、スーパーマーケットや駅のキオスクなどどこでも簡単に手に入れられることに驚いくようです。そして妙に納得してしまったのが、外国人の多くが感じている喫煙場所についての不思議です。レストランなどの店内では周囲のお客さんに迷惑がかかるということで、室内での喫煙のルールが厳しく「たばこは外で吸うもの」だと考えている外国人にとって、日本の「室内では分煙して喫煙可とし、屋外では喫煙スペース以外喫煙禁止」というルールがどうもおかしく感じるようなのです。レストランやバー、そしてそのフォーマル度によってもルールは違うところですが、喫煙のルールを外国人に知らせて守ってもらうにはどのように伝えればよいでしょうか。そこでファミリー層向けのレストランを想定し、「5時まで禁煙です。」を、カタコト日本語で言い換えてみることにしましょう。

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難易度 ★☆☆☆☆

使うポイント=3 (漢語をさける)

 

「たばこは5時までダメです。5時から大丈夫です。」

相手が喫煙者であれば喫煙に関わる単語を知っている可能性が高いので、「禁煙」と言う単語も伝わる場合が多いと思います。しかし、「禁煙」という単語の意味を知らない外国人には、「たばこ」「いい」「大丈夫」「ダメ」といった、より身近で簡単な言葉を選ぶようにするといいでしょう。また、「5時までダメ」に加えて「5時から大丈夫」や、「中はダメ」「外は大丈夫」のように、「どうすれば(あるいはどこなら、いつなら)大丈夫か」という説明を加えると、相手もルールを理解しやすくなるでしょう。全面的に禁煙ということもあると思いますので、その場合は「禁煙です。中もダメです。外もダメです。」のように伝えれば問題ありません。

ちなみにタバコは英語です。英語圏の外国人であれば問題なく伝わります。たばこを吸わない人にとって、たばこの煙や臭いは心地よいものではありませんよね。周りのお客さんのためにも、喫煙者にはルールをしっかりと伝え、理解してもらうことが重要です。