【カタコト日本語×駅】


【カタコト日本語×駅】

自国では車移動が主という外国人も、東京では公共の交通機関を使うことが多くなります。

日本の地下鉄の路線図を初めて見た外国人が、「ラビリンス(迷宮)」のようだと言って驚いたという話はよく聞く話ですよね。

2016年には訪日外国人者数が2000万人を超え、外国人観光客受け入れ態勢整備における多言語案内表示についてのガイドラインが発表されるなど、外国人とのより円滑なコミュニケーション力を身に着けることがますます求められています。

 

以前受け持っていたアメリカ人の生徒の、こんなエピソードがあります。

彼は平日他県で仕事をしていたのですが、週末を東京で過ごすために毎週新幹線を利用して東京に帰ってきていました。しかしある時、何かの理由で新幹線が運休になってしまったことがあるんです。日本語は勉強していた彼でしたが、繰り返し流れる日本語のアナウンスの意味は理解することができず、他の乗客が次々と下車する様子を目の前に、いったい何が起きているのか、どうすればいいのかわかりませんでした。駅員さんに聞いてはみたものの返ってきた答えの意味がわからず、途方に暮れた彼は私に電話をしてきたのです。困ったのは駅員さんです。正確な情報がつかめずイライラしている外国人に突然携帯を渡され、受話器の向こうにいる日本人に状況を説明するなんて、きっと初めてのことだったんじゃないでしょうか。

 

【私たちにできること】

ここで私たちが考えるべきポイントは、「相手は何がわからないのか」です。

あなたが外国で同じ状況にいるところを想像してみてください。あなたの頭の中には、どんなことが浮かんでいるでしょうか。

・なぜ電車が動かないのか

・危険な状況なのか

・運転は再開するのか、しないのか

・他の移動手段は何か

・支払った新幹線の切符代はどうなるのか

情報が理解できないというだけで、あなたの心は不安と恐怖でいっぱいになるはずです。また、次に何をするべきなのかもわからず慌ててしまうのではないでしょうか。

 

そこで私が提案するのは、外国人が視覚で状況が理解できるようにすることです。

外国にいるという状況では、耳で「フォー」という情報を受け取るのと、「4」と書かれた情報を目で受け取るのとでは、どちらの情報に確信がもてますか。

 

【具体的にどうするのか?】

例えば、「運休」「遅延」「事故」「再開時刻不明」「〇〇分後再開予定」「払い戻し」「行先は?」「○○で乗り換え」など、状況を説明したり、相手が知りたがっている情報を把握したりするのに必要となる単語を英語や中国語に訳して暗記カードのようなコンパクトなサイズで用意し携帯しておくのはいかがでしょうか。さらにそのカードの素材をホワイトボードのような書き換え可能な素材にしておきます。そうすれば、〇〇に入る部分をその都度書き変えることもできるし、「行先は?」という質問への回答を外国人に書いてもらうことも、「それなら4番線へ行って(platform 4)」といった指示も出すことができます。

 

特に新幹線や特急電車は、乗車時刻が決まっています。時短でスムーズなコミュニケーション法が必須ですね。鉄道会社の方に届きますように…